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#twnovel@SIREN

良崎(@kanfrog)のツイッター小説などまとめブログです。

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No.116

「ねえお姉さん、うちで初詣しない?」狩衣姿のイケメンに声を掛けられた。ふかふかの尾が隠しきれずに丸見え。三角の耳が触れるほど近くで、彼が囁く。「今ならおみく――お正月ガチャの大吉率が3倍。……ねえ、引いてよ、俺のために」大吉が出るまで課金したのは言うまでもない。

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No.114 ツイノベデー「熱」

氷枕でアイスを食べながら、雪女は言った。「暑い暑いって騒ぎすぎよ」「冷凍庫閉めろ」「やだ」「風呂に氷浮いてたぞ」「知らない」「しらを切る気か?」「ごめんなさい! ドライヤーはやめて!」項垂れた彼女をそっと抱き締める。「人間ってほんと熱い」「溶けるなよ」「馬鹿」

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No.113

桜吹雪を眺め、隣の人外がぼやいた。「もう散っちまうとはね」「でもすごく綺麗だよ」「遺される方はどうすりゃいい。お前も俺を置いて逝くんだろ?」真顔で尋ねる彼に、私は精一杯の笑顔で言い返す。「あんたの寿命が縮むほど楽しく過ごさせてやるんだから」おお恐い、と彼も笑う。

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No.108

「まったく、鬼とは損な生き物じゃ」角をさすりながら彼が帰ってきた。年に一度とはいえ大変なお仕事だ。「うちは鬼は内、だよ」「そう言うてくれるのはお主だけじゃ」彼は牙を煌めかせて笑う。「さて、食うぞ」「年の数だけね」鬼は、では儂は三百個じゃな、と炬燵で豆を頬張る。

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No.106

「最期の言葉は決めてるんだ」気が早いのね、と彼女は笑う。俺が彼女と初めて会ったのは雪の山。口外したら殺す、と言った雪女は数年後、過去を語らずに俺の妻となった。殺されて彼女との時間が減るのは勿体ないので、今際の際に言ってやる。『冬山で会ったときから好きだった』と。

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No.104

大雪で交通機関は麻痺。出勤できず待機していると、肩身が狭そうにしている雪女に気づく。「君の仕業か」「だって」「何だよ」「……だって最近、帰りが遅いから」外はいっそうの猛吹雪。「わかった、わかった。今日は休み取るから」人々の平穏な日常のために、まずは家庭円満から。

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No.102

「おいで」彼が笑顔で私を誘う。彼が人外の者だとは知っていたが、いったい何の変化なのかはあえて聞かなかった。そんなことは与えられる温もりには関係なかったから。私はいつものように彼の胸に飛び込む。「……あったかいわ」「なにせウール100%だからメェ」「羊だったのね」

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No.100

「こんなとこで油売ってていいわけ?」「油揚げなら買うがねェ」「お稲荷はかきいれ時でしょ。さっさと働きに行きな」「炬燵がいいんだけどなァ」飄々と答え、渋々立ち上がった背にはふさふさの尾。「じゃあ人間たちのどす黒い欲望を聞き届けてくらァ」「嫌な言い方しないの」

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No.99

正月特番にも飽きたので、居候の付喪神に話しかけてみる。「琴古主、歌ってよ」「『春の海』などは」「どんな曲?」「正月らしい、箏と尺八の楽曲で御座います」「もっと盛り上がる歌ないの」「では『紅蓮の弓矢』などは如何ですか」「歌えるんだ」「ひととおりは修めておりまする」

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No.96

ご主人が蜜柑を剥いていたのでねだってみたが、予想外の酸っぱさ。「大丈夫か」『お気遣い感謝です』「涙目だぞ」『人間ににゃるための修行なんです』「にゃあにゃあ泣いちゃって」『にゃいてにゃい』「猫又も蜜柑はダメなのかあ」撫でられているうちに酸っぱさなど忘れてしまった。

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