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#twnovel@SIREN

良崎(@kanfrog)のツイッター小説などまとめブログです。

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15分即興小説「鋭いヒロイン」

「……『なんだこいつ、また来たのか』」
 幼なじみのそんな言葉に、俺はギクリとして読んでいた雑誌から顔を上げた。彼女は悪びれもせず、冷ややかな目で俺を睨んでいた。
「なんだよそれ」
「あんたの心の中よ」
 モモは「お見通しなんだから」と不敵な笑みを浮かべた。
 確かに、まるで俺の気持ちをトレースしたかのような台詞ではある。俺の思考など所詮はモモに読まれる程度の単純なものには違いないが、それでもずばりと言い当てられるのは悔しい。
 なんで分かるんだよ、と言い返そうとした俺に、モモはさらにたたみかける。
「『なんで分かるんだよ』って思ったでしょ」 
「……おお、思ったさ」
「何でか分からないの。でも何となく分かるの。当たってるんだよね?」
 モモはにやにやしながら俺の顔を覗き込んだ。
 どういう仕組みか知らないが、心が読まれている。彼女の天性の勘なのか、それとも実は超能力者だったのか。いずれにせよ、今日のモモは鋭い。鋭すぎて、俺も迂闊なことは考えられない。
「悔しいって思った?」
 にやりと笑うモモ。その顔を見ていたら、ちょっとした悪戯心が湧いてきた。心を読まれるのならば、それを逆手に取ってやればいいのだ。
「じゃあ、俺が今何を考えてるか当ててみろ」
「そんなの簡単」
 胸を張って俺を見つめるモモ。やがて、ぱっと目を見開いて、口を開いた。
「『俺、モモのこと好きかも』って――」
「思った思った」
「え? ……え、だって――そんな――」
 口ごもるモモを見て、俺は参ったか、と言ってやるつもりだった。しかし、彼女は顔を真っ赤にして俯く。
「……あたしも、実はあんたのこと――」
「え?」
 どうも、勝負は俺の完敗に終わるようだった。

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15分即興小説「煙草と兄」

「また兄貴が来てたのかよ」
 ユウトは灰皿を見ながらそう言った。とげの含まれた言葉に、わたしはむっとして言い返す。
「来てたけど、それがどうかしたの」
「お前の兄貴は遊びに来すぎなんだよ。俺よりもお前に会ってんじゃねえの」
「きょうだいだし、会ったっていいじゃない」
「普通の女子大生ってのは毎日のように自分の部屋で兄貴と会うのか?」
 ユウトは私に背を向け、灰皿の中身をゴミ箱にあけた。そして、私の顔をのぞき込むと、ひどく悲しそうに尋ねた。
「……もしかして、兄貴じゃなくて他の男じゃ」
 思いがけないせりふ。怒りを通り越してなんだか笑えてきた。
「違う。わたしはそんなに信用されてないの」
「笑うなよ。浮気は、してないよな。……答えてくれ」
 ユウトの眼は揺らがない。これは重症だと思ったが口には出さず、他の言葉を口にした。
「もう終わりだね。別れよう」

 ユウトが出て行ってどれくらい経っただろう。玄関のチャイムが鳴り、見慣れた顔がのぞく。
「お前、なにぼーっとしてんの」
「お兄ちゃん」
 兄はいつものように、勝手知ったる、といった風に部屋へ上がり込んできた。灰皿を見て、にやりと笑う。
「彼氏が来てたのか」
「ううん。……ただの友達」
 わたしは兄のとなりに座り、胸ポケットからたばこの箱を取り出した。一本取りだし、兄に手渡す。
「わたしが好きなのは、このたばこを吸う人だけ」
 兄が私を抱きしめる。ふわりとたばこの匂いがした。

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