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#twnovel@SIREN

良崎(@kanfrog)のツイッター小説などまとめブログです。

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No.8

打者が一巡しても、ホームランさえ打たれなければ逆転されなかったのに。あと一人抑えられたら甲子園だったのに。試合前に戻りたいとは願わない。いっそ、野球を知らなかったころに還ってやり直したい――そして、ふと我に返る。それじゃ彼女に巡り会えない。ならば潔く負けてやる。

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No.7

「あらやんはもちろん、大学ナンバーワン投手でしょ?」願掛けの中身を聞き出そうと、私は彼を突っつく。彼は爽やかすぎる笑顔で首を振った。「違うの? じゃあ、何?」「きっと、土崎さんと同じこと。……だったらいいな」そう言って歩く彼の足は、文字通り地についていなかった。

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No.6

「要さん、食べたことありますか?」初詣の神社、彼女が示すのはわたあめ屋。「うん。遍さんは?」「お正月も化け物退治で」俯く遍さんを放っておけず、俺は大急ぎで一つ買ってきた。「ごめ……いえ、ありがとう」幸せそうに頬張る彼女。俺が味わうのは、恐らくそれよりも甘い気分。

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No.5

隣のファーが「大吉です」と呟いた。次いで、くじを愛おしそうにポケットにしまい込む。「ロボットもおみくじ信じるの?」「ええ。実際は、大吉を引く確率など、瞬時に割り出すことができます。でも、今日だけは忘れます」「いい一年になるといいね」彼女は、テスさんも、と笑った。

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No.4

ベルルックはデスクに突っ伏していた。仕事熱心も度が過ぎると、おれは彼女を揺り起こす。「年が明けるよ。残業もいいけど、新年くらいちゃんと家に帰りな」ベルルックはむくりと体を起こして目をこする。「新年をお前と迎えるのも悪くないな」「ほんと?」「に、二度は言わんぞ!」

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No.3

大晦日、澪は山の頂から夜の村を見下ろした。降り積もる雪に塗り潰される中、明かりが灯る窓がいくつか。あの光のどれかに聖がいる。「明日も来ます」彼はそう言い残していった。山の神となって久しいが、こんなにも待ち遠しい正月は初めてだ。澪はねぐらに丸くなり、ただ朝を待つ。

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No.2

「先生、あけましておめでとうございます」椿の去年と変わらぬ笑顔に胸が踊る。「正月はどうだった」「除夜の鐘を聞いたので、気持ちを入れ替えて勉強します」「……君は偉いな」椿は無邪気に俺を見上げた。その仕種にくらくらする。鐘がいくら鳴っても、俺の煩悩は消えてくれない。

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No.1

新年の会食を終え、ラグは後片付けを手伝っていた。ルーが気の毒そうに言う。「煩くて驚いただろ」「賑やかなのは好きだよ」孤児院の慎ましやかな年明けも嫌いではなかったが、家族のような皆で過ごすのも楽しかった。「なら、良かった」肩を叩く手の温もりもまた、嫌いではない。

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