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#twnovel@SIREN

良崎(@kanfrog)のツイッター小説などまとめブログです。

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No.66 ツイノベデー お題「夫婦」

家に帰ると焦げた臭い。キッチンからは泣きそうな声で「ごめん」と一言。それでも作ってくれた気持ちが愛しくて、私はお菓子になり損ねたものを口に放り込んだ。「美味しいわよ?」「嘘だ」「世界一美味しい」「……ありがとう」旦那はエプロン姿のまま泣き笑い。

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No.65 ドラクエ3生誕25周年記念

この世界で伴侶を得て子もできた。穏やかな日々の一方で、男は志半ばで斃れた父を思う。最期に遺した言葉は「平和な世界にできなかった父を許せ」。妻子の寝顔を瞼に焼き付け、男は立ち上がった。ディスプレイの中へ戻るために――四半世紀前に逃げ出した自らの世界を救うために。

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No.64

雪女は拗ねていた。街の上空まできて、先日の大雪の日を思い出したから。せっかく積もらせてあげたのに、意中の彼は女の子と仲良く雪遊び。元は自分のせいだから文句も言えずに飛び去ったのだ。「も、もう雪なんか降らせてやんないんだからねっ!」雪女は頬を膨らませて帰っていく。

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No.63 エイプリルフール

嘉章「おはよう(エイプリルフールか)」聖「あ、おはよう(まる聞こえだよ)」嘉章「朝飯早く食え。今日はステーキだ(……なーんつって)」聖「ありがと。豪勢だね(下手な嘘だな)」

聖「ヨシ兄! ほんとに朝から肉じゃないか!」嘉章「聞き耳を騙すには本当のことを言えばいいわけだ」

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15分即興小説「鋭いヒロイン」

「……『なんだこいつ、また来たのか』」
 幼なじみのそんな言葉に、俺はギクリとして読んでいた雑誌から顔を上げた。彼女は悪びれもせず、冷ややかな目で俺を睨んでいた。
「なんだよそれ」
「あんたの心の中よ」
 モモは「お見通しなんだから」と不敵な笑みを浮かべた。
 確かに、まるで俺の気持ちをトレースしたかのような台詞ではある。俺の思考など所詮はモモに読まれる程度の単純なものには違いないが、それでもずばりと言い当てられるのは悔しい。
 なんで分かるんだよ、と言い返そうとした俺に、モモはさらにたたみかける。
「『なんで分かるんだよ』って思ったでしょ」 
「……おお、思ったさ」
「何でか分からないの。でも何となく分かるの。当たってるんだよね?」
 モモはにやにやしながら俺の顔を覗き込んだ。
 どういう仕組みか知らないが、心が読まれている。彼女の天性の勘なのか、それとも実は超能力者だったのか。いずれにせよ、今日のモモは鋭い。鋭すぎて、俺も迂闊なことは考えられない。
「悔しいって思った?」
 にやりと笑うモモ。その顔を見ていたら、ちょっとした悪戯心が湧いてきた。心を読まれるのならば、それを逆手に取ってやればいいのだ。
「じゃあ、俺が今何を考えてるか当ててみろ」
「そんなの簡単」
 胸を張って俺を見つめるモモ。やがて、ぱっと目を見開いて、口を開いた。
「『俺、モモのこと好きかも』って――」
「思った思った」
「え? ……え、だって――そんな――」
 口ごもるモモを見て、俺は参ったか、と言ってやるつもりだった。しかし、彼女は顔を真っ赤にして俯く。
「……あたしも、実はあんたのこと――」
「え?」
 どうも、勝負は俺の完敗に終わるようだった。

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15分即興小説「煙草と兄」

「また兄貴が来てたのかよ」
 ユウトは灰皿を見ながらそう言った。とげの含まれた言葉に、わたしはむっとして言い返す。
「来てたけど、それがどうかしたの」
「お前の兄貴は遊びに来すぎなんだよ。俺よりもお前に会ってんじゃねえの」
「きょうだいだし、会ったっていいじゃない」
「普通の女子大生ってのは毎日のように自分の部屋で兄貴と会うのか?」
 ユウトは私に背を向け、灰皿の中身をゴミ箱にあけた。そして、私の顔をのぞき込むと、ひどく悲しそうに尋ねた。
「……もしかして、兄貴じゃなくて他の男じゃ」
 思いがけないせりふ。怒りを通り越してなんだか笑えてきた。
「違う。わたしはそんなに信用されてないの」
「笑うなよ。浮気は、してないよな。……答えてくれ」
 ユウトの眼は揺らがない。これは重症だと思ったが口には出さず、他の言葉を口にした。
「もう終わりだね。別れよう」

 ユウトが出て行ってどれくらい経っただろう。玄関のチャイムが鳴り、見慣れた顔がのぞく。
「お前、なにぼーっとしてんの」
「お兄ちゃん」
 兄はいつものように、勝手知ったる、といった風に部屋へ上がり込んできた。灰皿を見て、にやりと笑う。
「彼氏が来てたのか」
「ううん。……ただの友達」
 わたしは兄のとなりに座り、胸ポケットからたばこの箱を取り出した。一本取りだし、兄に手渡す。
「わたしが好きなのは、このたばこを吸う人だけ」
 兄が私を抱きしめる。ふわりとたばこの匂いがした。

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No.62 間違ったバレンタインデー

「で、友チョコというのはいつ貰えるのだ?」(僕があげるの……? しかも友……友なの……?)

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No.61 うるう日

「閏日? ……ふうん。ヒトの世界では一日多いのじゃな」「なんか得した気分になりませんか?」「四年に一日くらいどうということもないわ」「今年は一日も長く一緒にいられるんですよ!」「……あ、ああ。そうじゃのう(それはちょっと嬉しいかもしれん)」「そうです!(顔に出てます、澪さま)」

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No.60 理雪へのお題『焼き付く記憶』 イメージカラー:緑色

木漏れ日がきらめく下に彼女は立っていた。俺を認め、ぐい、と首を曲げて見上げてくる。「藤倉、だったな?」「覚えてくださったんですか?」モノクロの俺の心にはおさまりきれないほどの若葉の緑。それに負けないほどの初々しさを放つ藤倉。眩しくて目を逸らしたが、灼きついた光景は消えなかった。

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No.59 椿へのお題『今だけがすべて』 イメージカラー:朱色

雨の中、遠ざかる朱いテールランプを見送った。先生の服を着た私の掌の中には、携帯電話。メールの文面はだいぶ前にできていて、あとは送るだけなのに。(――恐くない。今日は先生と一緒だったから、雷も平気だった。今の私は何も恐くない、今だけは!)私は両手の親指を重ね、送信ボタンを押した。

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